仲良くなると図々しくてワガママになる人との関わり方は

<OL女子Tさんのケース>

とある職場での話。
Sさんは、わりと自分勝手な振る舞いをする人ゆえか、職場の同僚たちから距離を置かれているらしい。
いわゆる「ハブられている」ような状態で、Sさんと仲良くする人はいなかった。

しかし、そんなSさんに「かわいそう」と同情したTさんは、ある日、一緒にランチを食べようと声を掛けたのだ。
そこから、TさんとSさんの「友達」としての関わりが始まったのだけど。

今までは単なる「会社の同僚枠」だった彼女たちが、ちょっと親密になって「友達枠」へとシフトした。
が、Tさんを悩ませる問題もここから始まるのだった。

今になってみると、Tさんは、同僚たちからよく思われていないSさんに「同情」したのだと言う。
Tさん自身も人付き合いが下手で、常にひとりランチをしているからかもしれない。
せめて自分くらいは仲良くしてあげたいと思ったせいか、実際のところ、Sさんと関わるのはTさんだけになった。

でも、Tさんに対してのSさんの態度は、傲慢ともいえるものに変わっていく。
自分が頼まれたコピーを頼んだりと、Tさんに仕事を言いつけるだけでなく、飲み物を買ってきてもらうなどの私的な依頼までするようになったらしいのだ。

その上、Tさんに対してモラハラもどきの発言までするようになり、Tさんはだんだん、Sさんとの関わりがストレスになっていく。
なんとなく、そこに「上下関係」みたいなものを感じ始めたTさんは、いよいよ悩み始めてしまった。

そこから悩むこと数か月。
勇気を振り絞って、TさんはSさんに対して、日頃自分が感じているストレスのことを正直に打ち明け、パシリのような扱いやモラハラもどきの発言をやめてほしいとお願いしたのだ。
するとSさんは、「分かった。気をつける」と。

ところが、またしばらくするとSさんの態度は元に戻ってしまい、相変わらずTさんをパシリにするし、モラハラもどきの発言でTさんを傷つけるようになってしまった。

そんな状態に悩み、疲れてしまったTさんは、そこではじめて同僚たちがSさんをよく思わない理由が分かったという。
「こういう人だから、みんなから仲良くしてもらえないんだ」と。

それからごく自然に、TさんはSさんを避けるようになり…
他の同僚たち同様に、必要最低限のことでしか関わらなくなった。

しかし、ある時、Sさんから言われたのは、「自分が悪かった。態度を改めるから、また前みたいに仲良くしてほしい」という謝罪と懇願だった。
Tさんは迷ったけれど、Sさんから謝ってきたのだし、態度を改めると言ってるのだし…と、Sさんを許すことにした。
そしてまた、友達関係をやり直そうとしたのだが。

前回同様にSさんの言動は、しばらくすると元に戻ってしまった。
相変わらずのSさんの言動によってTさんはストレスを感じる日々が続き、会社に行くことさえ辛くなっていく。
結果的に、Sさんに対して強い嫌悪感や憎しみまで感じるようになってしまったらしい。


この話は、どこの職場にも存在しがちな、あるある話だ。
では、Tさんのようなストレスを回避するためには、どうしたらいいのか?

今回Tさんが陥ってしまったのは「同情」であり、それはTさんが自分自身に対するものでもあった。
つまりTさんは、日頃から人間関係がうまくいかない自分をSさんに重ね合わせて見てしまっていたということで、心理学的に言うなら、Sさんに自分を「投影」していたと言えるだろう。
「Sさんがかわいそう。救ってあげたい」というTさんの気持ちは、自分自身に対するものだったのだ。

「同情する」ということが悪いわけではない。
今回の場合、Tさんのストレスを長引かせていたのは、Sさんに対する「期待」でもあった。

Sさんは、「自分が悪かった。反省した」と言い「態度を改める」とも言った。
Tさんは、その言葉を信じたのだ。
きっとSさんは変わってくれる、と、期待した。


私は繰り返し何度も言うが、他人を変えようとすることは最大最強のストレスである。
なぜなら、他人は変えられないから。
自分自身でさえ変えることが容易ではないのに、どうして他人を変えようとする?


今回のTさんに必要だったのは、たとえ同情心からスタートした友達関係だったとしても、「一緒にいるとストレスになるという事実」を早く見極め、Sさんから距離を取ることだった。

何事も、やってみないと分からない。
会社だって、就職して働いてみないと分からないし、結婚だって、相手と一緒に生活してみないと分からないのだ。

だから、やってみて「ダメだな」と気づいたところで、やめられるもの(距離を置けるもの)はやめればいい。
選べるものだったら、選べばいい。

私は今回のTさんのようなケースを「逃げ遅れた」と表現する。
逃げることは全然アリなのに、なぜ逃げないのか?

戦うばかりが能じゃない。
相性が悪い相手とは、どう戦ったって何度戦ったって、まぁ、うまくいかないだろうな。

TさんがSさんのことを、「同情」ではなく「好き」「楽しい」が理由で関わっていたら、こんな結果にはならなかったはず。
だから、人間関係に限らず、物事は「好き」「楽しい」で選ぶことをオススメしたい。